でも、長期で株を持っていれば資産が増えていくイメージもあります。
もう少し株式投資のことを理解したいのですが、この辺の違いがよくわかりません。
何が正しいのでしょうか?
こんな疑問に答えます。
- ゼロサムゲームの仕組み
- 株はゼロサムゲームではなくマイナスサムゲーム
- 長期投資はプラスサムゲームなの?
この記事を書いている僕は、投資歴6年です。
これまで、株の短期トレードと長期投資のどちらもやってきました。
そんな中、株がゼロサムゲームだというのは周りからよく聞きましたが、一方で、株はプラスサムゲームとの意見も聞くことがありました。
一体どちらが正しいのでしょうか?
この記事では、株式投資の解釈における曖昧な部分をクリアにしていきたいと思います。
この記事を読むことで株式投資の理解をさらに進めることができますので、是非最後まで読んでみてください。
目次
株式投資の仕組み:ゼロサムゲームとは?
株式投資がゼロサムゲームと言われている理由から解説します。
まずは、ゼロサムゲームとは何かを確認しましょう。
儲かった人と損した人の損益を合算するとゼロになります。
つまりAさんに利益が生じていれば、他方で同じだけの損失がBさんに生じていることになります。
そうしたシステムをゲーム理論でゼロサムゲームといいます。
一対一でジャンケンをしているようなものですね!
つまり、株式投資の『売買』であなたが儲かっているといういうことは、この世界のどこかで、同じだけ損をしている人がいるということです。
その逆も同じで、あなたが損したときは、同じだけ儲かっている人がどこかにいます。
例えば、あなたが保有している株式を「売りたい」と思ったら『売り注文』を出しますよね。
その売り注文が成立するということは、反対ではその価格で買ってくれている人がどこかにいるということなんです。
このように、株式投資の売買は、買いたい人と売りたい人の双方の合意で成り立っていますので、ゼロサムゲームと呼ばれています。
ちなみに株式投資で発生する利益は、
- 株式を売買したときに得られるキャピタルゲイン
- 配当などのインカムゲイン
といった種類に分けられます。
そして、このゼロサムゲームという話については、株式を売買したときに得られるキャピタルゲインに関する話なんです。
配当などのインカムゲインは、買った株を長く持っていると定期的に入ってくるものですが、こちらはゼロサムゲームとは違った仕組みで利益が発生しています。
配当や優待物が目的で株を買う人も多くいますが、やはり一番儲かるのは株の売買取引をしたときに発生するキャピタルゲインです。
いわゆる『安く買って、高く売る』というものですね。
というわけで、ゼロサムゲームの話については、キャピタルゲインのことだと理解して記事を読んでいってください。
株式投資はゼロサムゲームではない!実はマイナスサムゲームだった
株式投資はゼロサムゲームなのですが、正確に言うと少し違います。
巷ではそう言われているので一見そう思いがちですが…
実は、もう少し厳しい「マイナスサムゲーム」なんです。
実は、勝った人と負けた人の金額は同じではないんです。勝った人は、負けた人が失うお金よりも少ない額しか受け取ることができません。
株式投資はマイナスサムゲームだった
その理由を説明します。
株式の売買をするには、個人同士で直接行うことはできません。
株式投資は、ゼロサムゲームのように2人だけで行うゲームではなく、2人の間に第三者である証券会社が仲介として入り、売買を成立させています。
ゲームに参加する2人は、参加料として証券会社に手数料を支払っているのです。
例えば、1000円を二人で賭けたとします。
ゼロサムゲームの場合は、Aさんが勝てば、Aさん2000円、Bさん0円という構図になり、Aさんは1000円が儲かり、Bさんは1000円を損したことになります。
しかし、仮に100円の手数料が必要なゲームの場合、AさんとBさんは1100円を準備することになります。
そこでAさんが勝てばAさんは1000円儲かりますが、実際は自分が支払った手数料100円を差し引いた900円が利益ということになります。
一方Bさんは、賭け金と手数料をあわせた1100円を損することになります。
このように手数料が必要なゲームの場合、Bさんが損したのは1100円ですが、Aさんは900円しかプラスになっていないということになります。
そして、二人から手数料として受け取った200円が証券会社の利益になっているものですね。
つまり、株式投資に参加している私たちが、証券会社の人々を養っているのです。
トレードはマイナスサムゲームの要素が大きい
もう少し、マイナスサムゲームについて話を進めます。
株式投資の方法には
- 短期間で売買を何度も繰り返す『トレード』
- 長い目で見て成長する株を狙う『長期投資』
などがありますが、特にトレードは、マイナスサムゲームの要素が大きいです。
なぜなら、売買を何度も繰り返す分ゲームへの手数料を支払う回数が多いからです。
株のトレードで儲けようと思って参入してきた投資初心者は、自分がマイナスサムゲームに参加しているという認識を持っていません。
初心者がビギナーズラックで一時的に儲かることは、よくあります。
しかし、ゼロサムゲームではなくマイナスゲームなので、トレードで儲け続けるということは、平均よりも優れているだけでは不十分で、もう少し抜き出て優秀であることが求められます。
ですので、トレードで勝ち続けるということは、とても大変なことなのです。
長期の株式投資でもゼロサムゲームの仕組みは同じ
短期間に売買を何度も繰り返す『株のトレード』は、本当にジャンケンを繰り返しているようなものです。
一方で、『FXや先物はゼロサムゲームだけど、株式投資はプラスサムゲームだ』と聞くこともあります。
プラスサムゲームとは、参加者全員が儲かるゲームのことです。
どうしてプラスサムゲームと言われているのですか?
企業の業績が優れていれば、その会社の株を買いたい人が殺到しますよね。
すると長期の視点で見たときに株価は大きく上昇し、長期で持ち続けた人は全員が儲かります。
これが、株はプラスサムゲームだと言われる理由です。
確かにゼロサムとかマイナスサムゲームとは違うような気がするんですけど、どうなんですか?
一見プラスサムゲームのように思いますが、細かく見てみると、結局仕組みとしては同じなのでプラスサムゲームではないんですよね。
長期で見た場合に株価が大きく上昇したのであれば、その株を買いたい人が次々に現れて、値段が吊り上がっていったということになります。
その買いたい人たちが「買える」ということは、反対側では同じ値段で「売る」人たちがいるからです。
株価が上昇を続けているうちは、途中で売る人は全員が儲かっています。(正確には、短期売買が繰り返されながら上昇していくので、100%全員が儲かっているわけではありません)
しかし、永遠に上昇し続けることはなく、一旦どこかで下落するタイミングが訪れます。
例えば、あなたが100円で買った株が3年後に1000円になっていたとして、ここで売却して利益を得たい!と考えます。
そのとき、「売り注文」が成立するのであれば、1000円で買ってくれる人が反対側にいるということです。
そして、その後仮に株価の下落が始まって1000円が500円になったとすれば、1000円で買った人は高値掴みをしたことになり、損をすることになってしまうのです。
ここまで説明したように、長期投資であっても売買の仕組みとしては「買う人」と「売る人」が存在するのは変わりません。
なのでゼロサムゲームという仕組みは同じです。(正確にはマイナスサムゲーム)
ですが長期投資は、株のトレードに比べるとゲームや勝負という感覚ではなくなりますので、株式投資を「投機」ではなく「投資」として捉えることができると考えます。
株式投資の本来の魅力は、「この企業は成長するだろう」と分析をして、長期保有で投資することなのです。
株がゼロサムゲームだとすれば利益の出どころは?
これまでの話を踏まえて、さらに深掘りをしていきます。
株式投資でお金を儲けようとするとき、その利益が一体どこからもたらされるのか考えたことはありますか?
自分がA社の株を買って、A社の収益が増加したら、自分に利益が入ってくるようなイメージだったのですが、これまでの話を聞いていると、「誰かが損をしたお金」が「自分の利益」になっているということなのですか?
A社の収益が増加した場合は、配当が少し増えたりして入ってきます。
ですが、株式の売買に関しては、売買する相手(個人投資家・機関投資家)が向こう側にいるから成立しているということです。
株式投資の売買でお金も儲けられる唯一の理由は、他のプレーヤーがお金を置いて、市場に参加しているからです。
株式の売買取引に関しては、その会社の収益とは直接的に関係のないところで行われていますからね。
すでに説明した通り、特に「株のトレード」に関しては、ゼロサムゲーム(マイナスサムゲーム)の要素が強いです。
あなたが儲けようとしているお金は、あなたにあげる気など全くない人が持っているお金が出どころです。
つまり株のトレードは、相手と戦って他人からお金を奪うことを意味します。
トレーディングについて、こんな表現があります。
大昔の中世の時代、かつて人々は剣を持って戦場に行き、敵対するものを殺そうとしました。
そして、その敵もその人のことを殺そうとしています。
勝者は敗者の武器、財産、妻を手に入れ、子供たちは奴隷として売り飛ばされます。
そのような戦いを、現代では証券取引所を通じてトレードをしているだけのことです。
いかがですか?
これから株式投資で短期売買のトレードにチャレンジしようとしている人は、このような危険が伴う戦いに参加するという認識を持っておくべきでしょう。
実際に市場では、このような奪い合いの戦いが日々行われており、株価が上がったり下がったりしているというわけです。
すでに株式投資を実践している方も、こういった背景を理解したうえで、投資を行いましょう。
ここまで見てきて、やはり株式投資をするなら長期での投資をオススメします。
短期のデイトレードを極められる人は一握りです。
企業をしっかりと選び、投資らしい投資で資産運用をしていきましょう。
株はゼロサムゲームではない!?まとめ
株式投資とゼロサムゲームについての解説しました。
この記事のまとめです。
- 株はゼロサムゲームではなく、手数料を取る第三者がいるためマイナスサムゲームである。
- 長期投資であっても仕組みは同じ。バイアウトするときには、誰かその値段で買ってくれる人がいるから自分が売ることができる。
- トレードは危険極まりない戦いに参加することを意味する。なので株式投資をする場合は、本来の魅力である「成長企業に投資する」スタンスで参加した方が投資らしい投資を行うことができる。
仕組みを知ってビックリした方もいるかもしれませんね。
解釈の結論としては、株式投資の仕組み自体はどこまで行ってもゼロサムゲーム(マイナスサムゲーム)で、プラスサムゲームと言われるのは長期保有で資産を増やせた人のイメージがあるからです。
いかがでしたでしょうか?
資産運用をしていく以上、株式投資は勉強しておいた方が良い分野になります。
投資信託をするにしてもFXをするにしても、株価の与える影響は大きいですからね。
下記の記事で株式投資の仕組みをもっと詳しく解説していますので参考になると思います。