計算方法は知っていても、腑に落ちるまで意味を理解して使っていますか?
単純移動平均線【SMA】の計算はテクニカル分析の基本!
株式投資において、どの株に投資するか決めるための方法として、大きく分けてファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があります。
会社の財務状況や業績をもとにして、その会社が今後成長するのかどうかを分析する方法です。
会社の本来の価値に対して、株価が割安かどうかを判断して株を買うのです。
値動きの推移をグラフ化したチャートを読み、分析する方法です。
投資家の心理状態を分析し、今後の値動きを予測し買いか売りかを判断します。
今回テーマの移動平均線は、テクニカル分析のなかの一つの方法です。
移動平均線ってよく聞く単語ですが、実は物凄く奥が深いです。
計算方法がその名の通り単純だからです。
移動平均線には「単純移動平均線」のほかに、「加重移動平均線」、「指数平滑移動平均」がありますが、単純移動平均線がよく使われており、基本になります。
移動平均線は英語で、Moving Average(ムービング アベレージ)と言います。
そして、単純移動平均線はSimple Moving Average(シンプルムービングアベレージ)となり、頭文字をとってSMA(エスエムエー)と略されることも多いです。
テクニカル分析には様々な方法がありますが、なかでも移動平均線は、ローソク足と並んで、テクニカルの超基本ですので、計算方法やどんな意味を持っているのかをしっかりと理解しておきましょう。
単純移動平均線【SMA】の見方は?
基本的な株式チャートは、ローソク足、移動平均線、出来高で表されます。
緑の線が5日単純移動平均線、オレンジの線が25日単純移動平均線です。
基本的な見方としては、まず移動平均線の傾きが上向いているのか下向いているのかを確認します。
チャートの一番右側の7月16日時点を見てみると、5日単純移動平均線は下向き、25日単純移動平均線は横ばいから下向きになっていますね。
移動平均線の傾きが上向いていれば上昇トレンド、移動平均線の傾きが下向いていれば下降トレンドです。
次に、現在の株価が移動平均線より上にあるのか下にあるのかを見てください。
チャートの一番右側の7月16日時点を見てみると、この日の終値は、2つの移動平均線よりも下にいることがわかります。
移動平均線より株価が上であれば今後も株価が上昇する可能性が高く、移動平均線より株価が下であれば今後も株価が下落する可能性が高いです。
では、なぜそのような解釈ができるのかを説明していきますね。
単純移動平均線【SMA】の計算方法は?
移動平均線は、期間設定によって何種類も存在しています。
上図の場合、5日単純移動平均線(緑)、25日単純移動平均線(オレンジ)、を示しています。
期間設定の種類には特にルールがありませんが、
日足チャートだと25日線、75日線がよく用いられます。
週足チャートでは13週線、26週線がよく用いられ、
月足チャートでは12カ月線、24カ月線がよく用いられます。
移動平均線の計算式は以下となります。
単純移動平均=n日間の終値合計÷n
例えば、5日単純移動平均線を計算するには、n=5として計算します。
今日を含めた過去5日間の終値を合計し、5で割り算します。
上図は楽天のチャートですが、チャートの左上に単純移動平均線の数字もしっかりと表示されています。
7月16日の終値は1,174円です。
5日単純移動平均線の数値は1,176.6と表示されています。5日単純移動平均線より終値が下にいるということですね。
5日単純移動平均線の1,176.6という数字は、過去5日間の終値の平均値です。
このように移動平均線とは、その期間に取引した投資家の平均買いコストを示しています。
よって、25日移動平均線より現在の株価が上にあるということは、過去25日間で買った投資家の多くが儲かっている状態だということです。
この儲かっている投資家や情報をかぎつけた投資家がさらに買いを入れるため、今後も株価が上昇する可能性が高いと言えるのです。
移動平均線より株価が下にあるときは、これの真逆のことが言えます。
過去25日間で買った投資家の多くが損をしている状態だということです。
そういった恐怖から投げ売りをする投資家が多いため、今後も株価は下降する可能性が高いと言えるのです。
わかりやすく例えます。
学校のテストでゆず太くんは60点を取りました。
クラスの平均点が70点だった場合、くそ~ってなりますよね。
しかし、クラスの平均点が50点だった場合は、うれしい!となります。
このように同じ60点でも、平均値より高いのか低いのかによって感情が変わってきます。
だから、株価だけを見ても判断はできないんだね。
株価が移動平均線の上なのか下なのかを見ることで、他の投資家の今後の感情を探るってことか~
設定する期間について特に決まりはありませんが、日足チャートの一般的な設定期間は以下のとおりです。
- 5日移動平均線:目先の株価の傾向を掴む
- 25日移動平均線:短期的な株価動向をさぐる
- 75日移動平均線:中期的な株価動向をみる
- 200日移動平均線:長期的な株価動向をみる
短期的な傾向をみたいのか、長期的な傾向をみたいのかによって、設定が変わってきますので自分のトレードスタイルに合わせた期間を設定します。
「一般的な設定期間」ということは、多くの投資家がこの日数で設定した移動平均線を見ているということです。
多くの投資家の感情の流れをみるということで、一般的な設定期間を採用しましょう。
高値とか安値は使わないのですか?
でもやはり一番大切なのは終値なので、終値で計算されているものが通常の移動平均線という理解で大丈夫です。
終値の重要性についてはこちらの記事で解説しています。
たとえば週足チャートの場合は、ローソク足が「月曜日の始値、一週間中の高値と安値、金曜日の終値」で作られていますから、単純移動平均線の計算には金曜日の終値を使います。
13週単純移動平均線であれば、今週を含めた過去13週の金曜日の終値を合計して、13で割れば算出できますよ。
単純移動平均線【SMA】の計算方法まとめ
移動平均線はテクニカルの基本になります。
計算方法や意味を考えれば、なぜ今後株価が上昇する可能性が高いのか、下降する可能性が高いのか、理解できると思います。
移動平均線の注意点としては、チャート上でトレンドが出現しないボックス相場に弱いということが挙げられますので、この点も理解したうえで移動平均線を使いこなしていきましょう!